Pre Mission
- (ドォォォォォン………)
- アストリッド
- …今回、私たちが
相手にしようとしているのは
神ではなく人間よ。
- アストリッド
- 本当の勇者は、ここにはいない。
辿るべき道のりも見えはしない…
だから、私は思うの。
- アストリッド
- 私たちがこの国を存続させるためには
今までとは全然違う戦い方を
選ばねばならないかもしれない…
- リゼット
- それって、どういう…?
- アストリッド
- 綺麗ではない戦い方…
個人の主義主張を超えた、
大きな視点からの選択を…
- (ドォォォォォン!!)
- ティオ
- また揺れた…うわっ!?
て、天井に穴が!
- ベガリア帝国兵
- 勇者アストリッド、発見。
手筈通りです。
- アストリッド
- 手筈通り…?
(偶然ではなく、この隠し部屋を
見つけ出したということ?)
- ベガリア帝国兵
- 捕捉します。
- ティオ
- また爆発だ…結構近い。
- アストリッド
- く…!
ただでやられると思って…!
- ???
- 抵抗は無駄だ。
- アストリッド
- あ……つッ!?
(あの武器はいったい……!?
光で私の剣を溶かしたっていうの…!?)
- ???
- 抵抗の意味がないこと、
ご理解いただけただろうか。
- アストリッド
- あなたは…?
- カルデオン
- ベガリア帝国将軍、カルデオン。
そちらは赤竜騎士団団長と幹部の者…
で、間違いはないか。
- アストリッド
- …ええ。
- カルデオン
- ならば我々に敵意はない。
私は君たちに手を差し伸べたいのだ。
- リゼット
- 何を言っているの?
ここまで一方的に攻め入っておいて!
- カルデオン
- 我が軍の目標は
あくまでリグランド王国である。
- リゼット
- 隠し部屋であるこの柱の間も、
いつ見つかるか分からない。
何か次の策は?
- カルデオン
- そして我々は、赤竜騎士団がリグランドの
政治的な支配を受け続けていたわけでは
ないことを知っている。
- カルデオン
- 劫魔節を終わらせ、世界を救いたもうた。
君たちの英雄的精神には、
一定の敬意を持っている。
- カルデオン
- 故に、君たちがベガリア帝国に
忠誠を誓い、リグランド侵攻に
手を貸してくれるのであれば…
- カルデオン
- 赤竜騎士団の名を残し、
活動することを認めよう。
- アストリッド
- …寝返れっていうの?
- カルデオン
- 有り体に言えばそういうことだ。
だが悪い話ではあるまい。
- カルデオン
- 個々人が反抗さえしなければ、
騎士団員の命が我々に潰されることも
なくなるのだから。
- アストリッド
- 団員の、命…。
- アストリッド
- … … …。
お父様…
- アストリッド
- …分かりました。
そのお話、お受けします。
- アストリッド
- 正直、策というほどのものはないわ。
ベガリアの謎の技術は
私たちの想像を超えているから。
- ティオ
- アストリッドさん!?
- カルデオン
- 流石は勇者。
引き際を分かっているからこそ、劫魔節を
生き延びて来られたのだろうな。
- カルデオン
- 君たちはどうする?
- ティオ
- 従うわけがないよ!
こんな、一方的な侵攻に
屈するわけにはいかない!
- ティオ
- そうだよね、お姉ちゃん!
…お姉ちゃん?
- リゼット
- … … …。
- リゼット
- (アストリッドが理由もなしに
祖国や騎士団を売るはずがない)
- リゼット
- (もしかして、これがさっき
彼女の言っていた…
綺麗ではない、戦い方?)
- カルデオン
- さあ、決断せよ!
さもなくば…!
- リゼット
- …っ!
- アストリッド
- …フィンがいない今、
対抗する術なんてそもそも
存在しないのかもしれない。
- カルデオン
- ぐっ!?
(こいつ、武器を飛び道具にして…!)
- ベガリア帝国兵
- 大丈夫ですか、将軍殿!
- カルデオン
- かすり傷だ、問題ない。
それより…
- アストリッド
- 逃げたのね、2人とも。
…それで、いいわ。
- リゼット
- ティオ、ここ!
隠れて!
- ティオ
- う、うん!
- ベガリア帝国兵
- あの二人は絶対に逃がすな。
生死は問わぬから連れてこいとの、
将軍殿直々のご用命だ。
- アストリッド
- 待ちなさい、外に出るなら
ここの隠し通路を使って。
- ティオ
- アストリッドさん!
さっきの発言はどういう…
- リゼット
- しっ…静かに。
- リゼット
- フィン…
- アストリッド
- ここからならすぐ外に行けるわ。
早く行って!
逃げられてもいいの!?
- ベガリア帝国兵
- わ、分かった。
行くぞ!
- アストリッド
- … … …。
どうか、逃げ切って…
- リゼット
- (やっぱり…アストリッドは本心から
祖国を裏切ったわけじゃない。
戦い方を変えただけ…)
- リゼット
- (だったら…私も。
私とティオも、新しい方法で
戦い続けられるはず…!)
- ティオ
- …行こう、お姉ちゃん。
王都から…脱出しよう。
- リゼット
- …うん。
- アストリッド
- ねえ、覚えている?
劫魔節に抗った時の道のりを。
- アストリッド
- 道は平坦ではなかったけれど、
思い返せばその時々に
“よすが”があったわ。
- アストリッド
- まるで道しるべのような…その内の幾つかは
アルケインがわざと創り出したものでも
あったわけだけれど…