Pre Mission
- カレン
- … … …。
- フィン
- カレン?
寝言かな。
- カレン
- 弱くなって…きて…
…どうすれば… … …
- フィン
- …なんの夢だろう?
- リゼット
- ああ、ここにいた。
フィン、いい?
- フィン
- あ、うん。
どうかした?
- リゼット
- アストリッドが皆を呼んでいるの。
フィンにも来てほしいみたい。
- フィン
- そうか、分かった。
今行くよ。
- フィン
- (カレン…
きみは一体、何を考えている?)
- アストリッド
- 皆、集まったわね。
それでは、今回の招集の理由を
説明します。
- アストリッド
- この度、リグランド女王の命で
我々赤竜騎士団はハイメリアへ
援軍を出すことになりました。
- フィン
- カレン…カレン?
- アストリッド
- 今回の招集は、援軍として出向する人員を
通達するためのもので…
- ゼクー
- 反対だ。
- フィン
- ゼ、ゼクー!?
話も聞いてないのに、どうしてだよ?
- ゼクー
- ハイメリアといえば、
フィンの命を脅かす炎の精霊の眷属が
王女として住まう国であろう。
- ゼクー
- 我が使命を阻む集団を、
何故わざわざ助ける必要がある。
- アストリッド
- ゼクーの言い分も理解できます。
ですが、国家間のやりとりは
そう単純なものではないのです。
- ナギ
- グル・グリムを倒したら敵同士、なんて
マキシマ姫には言われましたが…
- ナギ
- なんだかんだ言って、
グル・グリムが倒れた後も
表立ってケンカはしてませんなー
- フィン
- とにかく、まずは話を聞こう。
賛成とか反対とか決めるのは、
事情を知ってからにするべきだ。
- ゼクー
- むう…
- カレン
- すぅ…すぅ…。
- アストリッド
- こほん。
では、改めて。
- アストリッド
- 元々、我がリグランドと隣国ハイメリアは
友好関係にあります。
- アストリッド
- 劫魔節やグル・グリム教団の暗躍の折に
私たちと敵対したのは、あくまで
ハイメリアという国家の一部…
- アストリッド
- ハイメリアは、国として
リグランドに敵対しているわけではない。
むしろ助け合う関係にあるのよ。
- リゼット
- 王女様が他所の国の騎士に刃を向けたのは
十分、敵対だと思うけど…
- アストリッド
- まあ、その辺りは
混乱の最中でしたから、不問ということに
なったのでしょうね。
- ガ=ルガ
- …勝手な話だ。
- アストリッド
- それは同意しますけれど…
私情になりますから、
一旦、置いておいてちょうだい。
- アストリッド
- ここからが今回の話よ。
ハイメリアは現在、国家全体が
疲弊しているの。
- ティオ
- 国家全体が、疲れている…?
- フィン
- …起きないや。
疲れてるんだろうな。
- アストリッド
- 主な原因は2つ。
モンスターによる民への襲撃、そして
革命軍なる者たちによる国家への反乱。
- アストリッド
- NOTEXT
- アストリッド
- それらの散発的な攻撃によって、
ハイメリアはじわじわと
国力を削がれ続けている…
- エルミナ
- でも、それは自領内でのトラブルだろ?
ハイメリア自身で片付けるべき
事柄じゃないのかい?
- アストリッド
- ところが、そうはいかないのよ。
ハイメリアの更に隣には、
ベガリア帝国がある。
- アストリッド
- かの国は常にハイメリアを、ひいては
リグランドを狙っているわ。
- ミァシア
- そっか…ハイメリアが瓦解しちゃうと
リグランドもベガリア帝国に
狙われる身になっちゃうってわけだね。
- アストリッド
- ええ、そういうこと。
ハイメリアはリグランドにとって、
ベガリア帝国への盾となっているの。
- アストリッド
- 盾の窮状を放ってはおけない…
それで、リグランド女王はわたくしたちを
ハイメリアに派遣すると決めたのよ。
- フィン
- なるほど…複雑だな。
国と国の話は、先々を
考えなきゃいけなくて大変だ。
- フィン
- (疲れもするか。
カレンが今やっている研究は、
未知の分野への挑戦なんだし)
- リュドミラ
- 他人事のように言うな。
騎士団に…国家に属している以上、
国の都合は君の都合でもあるのだぞ。
- フィン
- リュドミラ大隊長!
お身体の方は、もう大丈夫なんですか?
- リュドミラ
- 万全だ、問題ない。
ダァナの前で見せた醜態の分は、
これからの働きで取り戻してみせよう。
- アストリッド
- 今回の任務はリュドミラ大隊長、
フィン、そしてガ=ルガの
3人へ命じます。
- アストリッド
- まずは身動きしやすい3人で。
他の者たちは、有事の際に備えて待機。
いいわね?
- ゼクー
- 反対だ。
- アストリッド
- ここまで説明させておいて
まだ理解できませんの!?
- ゼクー
- 事情は分かった。
だが、我の使命はフィンを守ること。
黙って送り出すなど無理な相談だ。
- ナギ
- そうですぞ!
それに拙者とて、あの勇猛で美しき
百合の姫に再び相見えたい!
- アストリッド
- …それよ、ナギ。
あなた先日、マキシマ姫を公衆の面前で
口説いたそうですね?
- フィン
- (でも、どうして急に
こんな研究を始めたんだろう?)
- ナギ
- うぐっ。
- アストリッド
- 先方のお偉いさんをいたずらに刺激する、
そんなあなたを派遣するわけないでしょう!
- アストリッド
- ゼクーもゼクーですわ!
その派手で悪目立ちする図体では、
動きにくいことこの上ないじゃない!
- ゼクー
- むう…
- アストリッド
- あなたの強さは知っていますが、
異国で動く以上、悪目立ちして
いいことなんて1つもないの。
- アストリッド
- 分かったら今回は控えてちょうだい。
それがフィンを守ることにも
繋がるんだから。
- ゼクー
- …見た目が問題なのだな?
- アストリッド
- え?
ええ、まあ…。
- ゼクー
- ならば、これでどうだ。
- ゼクー
- この姿なら問題ない。
- フィン
- (こんな…黄金の紋章を
複製するだなんてことを…)
- アストリッド
- なっ…!
も、もふもふ…!
- アストリッド
- で、でも!
喋る愛玩動物なんて、それはそれで
悪目立ちするんじゃ…!
- ゼクー
- 言葉を発さなければよい。
…きゅうー。
- アストリッド
- くっ…ひ、卑怯よ、そんな
触り心地のよさそうな毛並みで!
リュドミラ、あなたも何か言ってやって!
- リュドミラ
- ふ、ふかふか…
なんて愛らしい…っ!
- アストリッド
- リュドミラー!?
- ゼクー
- きゅう、きゅうっ。
- アストリッド
- …分かった、分かったわよ!
きちんと偽装できるなら
フィンについていってもいいわ!
- ゼクー
- きゅう♪
- リゼット
- (ゼクー…尻尾、ぶんぶん振ってる)
- フィン
- (精霊が危険視する、紋章の力…
それを人の手で写し取るなんて、
本当に必要なことなのか?)
- ティオ
- (完全にペットだ…)
- アストリッド
- で、では…
リュドミラ、フィン、ガ=ルガ、
そしてゼクー。
- アストリッド
- ハイメリアに赴き、
無事に任務を果たしてきなさい!
- リゼット
- 気を付けてね、フィン。
- フィン
- ゼクーもいるし、大丈夫だよ。
…いってきます!
- ゼクー
- きゅうー♪
- カレン
- んん…やはり…